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第20回 鼠のうつる鏡もち2007.12.21


縦9.7×横13.2cm






 師走の声を聞くとなんだか慌しくなる。そうでなくとも、なにひとつ整然としていないのに、まわりからせきたてられているように錯覚してしまうから不思議だ。


 さて、来年平成18戊子年(2009)はネズミ年。ここに掲げた一枚刷りは、天保庚子年(11年−1840)の子年、170年前のもの。葉書よりも小さく、つましい俳諧一枚摺で愛らしい。年賀の挨拶に配ったものかも知れない。
 俳人の乕洞と亀房は、まったく分からない。また、鏡餅に向かっているネズミの画を描いた貞人についてもわからない。さらに乕洞の住む琵琶城下とは、信濃国(長野県)信州新町の虚空蔵山(873m)の異名らしいが、日向国にもあったから、これも確定できない。この無知さを困ったものだと恥じ入るばかり。今年もまた、何ひとつわからずに暮れていってしまうのだろうか、と雪が舞っている空を見上げている。どなたか、教えていただければ幸いです。


 最後に古句逍遥にお付き合いいただきました方に年末年始のご挨拶を同時にさせていただきます。
 どうぞ、良いお年を。また、子年の玉の春をお迎えになられ、御慶申し上げます。