俳文学会東京研究例会
例会プログラム
◆「年間スケジュール」はここをクリック!◆ 【カレンダー表示】

443回
2018年7月21日(土)14:30〜17:00
聖心女子大学1号館204教室
●研究発表
 連歌古注釈の叙述法ー宗牧注を中心にー / 浅井 美峰 氏 

【要 旨】
 連歌の古注釈は、連歌作者によって先達の連歌を学ぶために読まれたもので、連歌作品の単なる鑑賞のためのものではなかった。そのため、連歌以外の古注釈に見られるような秘伝的な言説が見られず、基本的に平明な分かりやすい説明が為されている。本発表では、その中でも詳細な記述が特徴とされる宗牧の百韻の注釈を中心として、連歌の古注釈の叙述、例えば注釈の中に一定の様式が見られること等から、当時の人々が連歌の付合をどのように理解し稽古していたのかを考えていきたい。

●研究発表
 享保江戸座俳諧と新名所ー菊岡沾凉の活動を例としてー / 真島 望 氏

【要 旨】
 新興都市である江戸には、古来の歌枕が乏しい反面、江戸時代以降生成された新しい名所が多いのが特色と言える。その傾向が明確にあらわれたのが、露沾門の菊岡沾凉による地誌『江戸砂子』(享保十七〈一七三二〉刊、続編同二十刊)であった。
 本発表では、絵俳書の絵師としても知られる全角画「武蔵国雑司谷八境」(早稲田大学図書館蔵)成立に、沾凉が深く関わることを明らかにした上で、それを一例として、享保江戸座俳諧が江戸の名所創造にいかに関わったのか、そしてそれが後世にどう影響したかについて検討し、沾凉らの行為が文化史・文学史的にいかに位置付けられるのか考察する。

第442回
2018年6月16日(土)14:00〜16:30
深川江戸資料館地下1階レクホール
●【講演】テーマ「忠臣蔵と俳諧・川柳」(江東区公開講座を兼ねます) 司会:深沢 了子氏


(1)赤穂浪士と江戸の俳人たち          稲葉 有祐氏

(2)忠臣蔵の川柳    跡見学園女子大学教授  岩田 秀行氏

441回
2018年5月19日(土)14:30〜17:00
江東区芭蕉記念館
●研究発表
 作品紹介 【四明筆紙本墨画幅】/冨田 鋼一郎 氏 

【要 旨】
 本発表では四明の落款を持つ紙本画幅を紹介する。蕪村は宝暦四年、三九歳から同七年までの丹後時代、画嚢・詩嚢を蓄え、様々な画号・印章を試みたが、その後ほとんど用いられなくなった。そこには修業時代が終わったとの意識が働いていたのかもしれない。

●研究発表
 蕪村晩年の「恋」と俳諧 / 玉城 司 氏

【要 旨】
 蕪村が「雛糸」の戯名で記した発句十を記した懐紙と月渓の極書(証画入り)を紹介する。この内、八句は従来知られていなかった句で、月渓の極めによれば、「ことにおとりたる風調をまねて」詠んだものというが、如何だろうか。また、月渓の証画をヒントに、安永九年四月二十五日付け道立宛蕪村書簡の筆蹟を再検討して、「妹が垣根さみせん草の花咲ぬ」句と「老が恋わすれんとすればしぐれかな」句について考え、蕪村晩年の俳諧について私見を述べたい。

440回
2018年4月21日(土)14:30〜17:00
江東区芭蕉記念館
●研究発表
 書簡に残る蕪村句 / 谷地 快一 氏

【要 旨】
 画人蕪村には、明和三年(1766)の京都で発句会を結成して以後、原本は不明ながら、その衆議の記録がペン書きで潁原文庫に残され、講談社版『蕪村全集』に反映されている。すなわち『夏より』(推定太祇筆)・『高徳院発句会』(推定百池筆)・『耳たむし』(百池筆)・『月並発句帖』(百池筆)などである(ただし、『夏より』『高徳院発句会』『月並発句帖』については、近年天理図書館綿屋文庫に所蔵されることが判明)。一方で、現存する四百数十点余りの蕪村書簡には、上記の句会記録に確認できない発句も少なからず存在する。本発表では、これらがどのような経緯で生まれ、晩年の自選句集でどのような扱いを受けたかを整理しつつ、蕪村の作風に及ぶ。


●輪  講
 『続の原』発句の部・第14回 / 相澤 泰司 氏 
【夏の部−13〜17番】

第439回
2017年12月16日(土)14:30〜17:00
聖心女子大学1号館204教室
第29回テーマ研究  芭蕉真蹟集の今後−『芭蕉全図譜』25年を前に−  
                                 司会 深沢 眞二氏

講演  芭蕉真蹟研究史の展望                      安保 博史 氏

【要旨】
 江戸時代以来の芭蕉真蹟集成の試みを概観し、『芭蕉全図譜』(岩波書店、平成5年)所収「総説 芭蕉真蹟物の世界」、今栄蔵氏「芭蕉の関防印『山昨木』の本物と偽物」(『連歌俳諧研究』99号、平成12年)、同氏「芭蕉の真蹟とその模造品」(『山寺芭蕉記念館紀要』6号、平成13年)などの到達点を確認した上で、平成8年に発見された自筆本『奥の細道』真贋判定時の学界の対応を検証し、より精密化する近年の芭蕉真蹟研究の最前線の諸相を踏まえながら、今後の研究の方向性や課題を展望する。

資料紹介  暁台旧蔵「芭蕉翁筆伊勢之吟」一幅               清登 典子 氏

講演  芭蕉筆跡に対する所感−晩年を中心に−     立教大学名誉教授  加藤 定彦 氏

438回
2017年10月21日(土)14:30〜17:00
江東区芭蕉記念館
●研究発表
  文暁著『花屋日記』再考   /  眞杉 泰輝 氏

【要 旨】
 『花屋日記』は、肥後国正教寺第十世藁井文暁によって書かれた芭蕉伝記『芭蕉翁反古文(上下)』(文化八年自序)の後刷・改題本の書名である。この作品の上巻は日記体で、芭蕉の発病から葬送までを記し、そこに集まった弟子達との最後の俳遊の様子が描かれる。一方、下巻には弟子たちの書簡や遺品整理についての記述を掲載している。あたかも、芭蕉の直弟子の記した作品かのように見えるが、其角「芭蕉翁終焉記」・支考『笈日記』・路通『芭蕉翁行状記』などをもとに書かれたということからこの作品は「偽書」と断じられ、俳文学研究の俎上に上げられる機会が少なかった。何かと神格化されがちな芭蕉の終焉の様子を人間一般のそれとして描いた本作に対する評価を文暁の人生とともに再考していきたい。

●研究発表
  初期俳諧と『論語』古注・新注の関係について / 吉田 健一 氏

【要 旨】
 『論語』は日本の思想界のみならず文学にも大きな影響を及ぼしている。初期俳諧においても松永貞徳の「酒の朋遠方よりやきくの宿」(『崑山集』)をはじめ『論語』を取り込んだ句が見られる。それにとどまらず、『類舩集』などの俳諧辞書や俳論・俳文の中にも『論語』を取り入れた表現が見られる。ただ、一口に『論語』と言っても、室町から江戸初期にかけて、我が国ではその解釈に大きな変化が見られた。それは何晏の『集解』に代表される古注に依拠した読み方から朱熹の『集注』すなわち新注による読み方への転換である。初期俳諧の世界で活躍した人々は、そのどちらにも触れる機会があった。たとえば、『滑稽太平記』には「何晏集解に曰く」という記述があるし、また『俳諧蒙求』には「この人を、論語憲問十四朱子の注に・・・」と記されている。今回の研究発表においては、『論語』の読み方の転換と初期俳諧における『論語』の引用との関係を見ていきたい。

437回
2017年9月16日(土)14:30〜17:00
江東区芭蕉記念館
●研究発表
  連歌古注釈における句の評価の位置づけ−宗祇門流を中心に−  / 浅井 美峰 氏

【要 旨】
 連歌には、作者自身の自注を持つ作品や、成立とほとんど同時代に注釈が付された作品が存在する。新日本古典文学大系の『竹林抄』で、それらの「古注釈」を批判的に享受し作品理解に役立てているように、「古注釈」は作品の鑑賞に資するものである。また、古注釈の中には句の良し悪し等の評価をしている注が見られ、当時の連歌師がどのような点を重視していたかを見るのに有益である。例えば、心敬は『芝草』で「粉骨」等とその句に自身が注力したことを示し、宗祇も七賢や自身の句に評を加えた作品を多く残している。
 本発表では、宗祇門流の連歌師である宗長や宗牧の古注を中心に、そこでの句の評価がどのような意味を持ち、どのように連歌史の上に位置づけられるかを見ていきたい。


●研究発表
  松井家旧蔵文書から見る凉袋と素輪  / 紅林 健志 氏  

【要 旨】
 群馬県立文書館が現在所蔵する松井家旧蔵文書は、近世期に前橋宿の本陣八田屋を営んだ松井家に伝存した文書群である。この松井家の当主には、凉袋(建部綾足)の有力門人であった素輪がいる。松井家の凉袋関連資料は、文書館の所有となる以前、すでに本多夏彦「三日月素輪」(『上毛及上毛人』連載)および『凉袋伝の新研究』(本多夏彦著作刊行会)で紹介され、『建部綾足全集』(国書刊行会)においても一部が使用されている。しかし、それらで触れられていない資料もあるので、本発表では、松井家旧蔵文書における凉袋関係資料の概要を述べ、凉袋と素輪の交流、凉袋の活動等についていくつかの知見を述べる。

第436回
2017年7月15日(土)14:30〜17:00
聖心女子大学1号館204教室
第28回テーマ研究  「国際俳句とフランス20世紀詩における革新
          ―金子美都子氏の講演を中心に―」             
                              司会 塚越 義幸 氏
  
●国際俳句の概要と可能性                    東 聖子 氏

【要 旨】
 21世初頭のいま、国際俳句は欧州・北米・南米・アフリカ・アジア・その他の多くの国々で、創作されている。それぞれの国々や民族の伝統的な詩の歴史と言語構造の特質のうえに、成立している。その短詩型文学としての魅力はどこにあるのだろう。また現代的な詩的表現として、グローバルな近未来への可能性を考究する。


●講演 フランス20世紀詩と俳句―ジャポニズムから前衛へ―  金子 美都子 氏  

【要 旨】
 日本の短詩型文学の一つである俳句は、日露戦争勃発の前年に来日したフランス人青年哲学者ポール=ルイ・クーシューによって発見され、フランスに発信された。俳句は、20世紀のフランスにどのような興味と関心から選び取られ、また、どのようなインパクトを与えたのか。俳句の詩学に向き合ったフランス詩人・社会を通して、フランス近代における「詩」の革新を追う。

435回
2017年6月17日(土)14:30〜17:00
江東区芭蕉記念館
●研究発表
  連歌式目の制定と付合技法の発展
    〜『文和千句』と『紫野千句』の四季の句を中心に〜 / ボニー・マックルーア 氏

【要 旨】
 連歌式目は、百韻全体のバランスと多様性を確保する上に、あるテーマから離れる必要性を生じさせることによって、付合技法の発展を促進したと考えられる。式目の制定が具体的にどのような新しい付合技法を生み出したかについて、式目制定の頃に詠まれた作品である『文和千句』と『紫野千句』を見ると手掛かりが見つかる。特に、これらの作品の四季の句を見ると、季節を転じるための付合工夫をさまざま用いていることがわかる。例えば、過去の思い・未来の想像を使って季節を転じた付合や、ある季節の景物を別の季節の景物の見立てた付合などがある。このような付合パターンの中には、良基以前の連歌作品には例が見つからないものがある。このように、良基・救済時代の連歌では季節を転じる場合の付合技法がより複雑、より多様になるということは、式目の制定により、決まったところで季節を転じる必要が生じたということが関わっていると考えられる。

●研究発表
  「恋俳諧」という文芸 / 永田 英理 氏  

【要 旨】
 「恋俳諧」とは、連句の各句すべてに恋を詠み込んだ特殊な俳諧であり、連歌の恋百韻に倣ったものとされている。正統な連句に比べて遊戯性の強い文芸ではあるが、初期俳諧における流行をはじめ、『みなしぐり』の其角・嵐雪による両吟、享保期における沾州や淡々による試み、綾足の「恋百韵」など、俳諧史においてしばしば確認することができる。 
 蕉風俳諧における恋句の研究がさまざまなかたちでなされてきたのに対し、恋俳諧で詠じられてきた句については、これまでほとんど検証されてこなかった。そこで、現在確認することができた作品を対象に、恋俳諧においてどのような「恋」が詠じられてきたのかをみてゆくことにしたい。その結果、西鶴の矢数俳諧や蕉風俳諧における恋句の特徴もまた、あらたに浮かび上がってくるだろう。

434回
2017年5月20日(土)14:30〜17:00
江東区芭蕉記念館
●研究発表
 元禄二年の芭蕉の「初雪」二句について   / 深沢 眞二 氏
【要 旨】
 尾形仂先生は1995年6月17日の本研究会において、「芭蕉発句雑考」と題して「初雪に兎の皮の髭つくれ」句等の解釈に新見を示された。それはのちに『俳句の可能性』所収の「俳句の読み」という論考となり、尾形先生の解は定説となりつつある。22年後の今、「初雪に」句について、とくに「兎の皮」のもつ象徴的な意味を考慮する必要があるという視点から、新たな解釈を提示したい。また、同じ元禄2年の芭蕉発句「初雪やいつ大仏の柱立」との関わりについても考察する。

●輪  講
 『続の原』発句の部・第13回 / 深沢 了子 氏 
【夏の部−8〜12番】
  
CGI-design